ROCKな人魚姫《前編》
「おっ。れん。おはよう」


そこにいたのは、高明くんだけだった。

シノブとユウの姿はない。


「おはよう。一人?」


「そうそう。俺、さっき学校着いたばっかりだからさ。みんな先行ってるのかも。俺もこれ吸ったら教室向かうよ」


そう言うと、タバコを深く吸い込んだ。


あたしは、ただそれを見つめていた。


・・・高明くんはおいしそうにたばこを吸う。





それ、ほんとにおいしいのかな。



あたしも吸ってみようかな。




タバコ吸わないのにいつも喫煙所いるのもおかしい気がするし・・・



「・・・・・くぞ」


「へっ?!」


不意に声をかけられたせいで、まぬけな声を出してしまった。


「何、ぼけっとしてんだよ。教室行くぞ」


「あっ。うん。」



そう返事して、あたしは高明くんの背中を追いかけた。





それは、


人見知りなあたしが、大学生活で迷子にならないための、


道しるべのようなもの・・・。



あんたのおかげで大学4年間、本当に楽しく過ごすことができたよ。







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