ROCKな人魚姫《前編》
高明くんとは、昨日会ったばっかりだけど、一緒にいることが多いせいか、かなり打ち解けた。
講義も終わり、あたしたちは教室を出る。
お互いに何も言わなくても向かうところはやっぱり喫煙所。
大学の中でも、一番の居場所になりそうだ。
「よっ!!」
喫煙所から、うちらに向かって手を挙げている人がいる。
間違いなく、シノブだ。その影でユウもタバコを吸っている。
サラサラの髪が春の風になびいて、より一層、シノブの”美”をひきたてる。
タバコの煙を吐き出すと、その綺麗な瞳はあたしに向けられた。
なんだかその瞳に吸い込まれてしまいそうなくらい綺麗で、あたしはその瞳から目をそらせずにいた。
「れん・・・・」
「お前、さっきの講義サボったっしょ!!!学校来てるなら出ろよ。」
何か言いたそうなシノブをさえぎって、高明くんはさっきの教室にいなかったことを問い詰めた。
その言葉で、シノブの視線もあたしからそらされ、高明くんにむけられる。
それと同時にあたしも高明くんに視線を送った。