ROCKな人魚姫《前編》
「あー、ってか、バンドメンバーだよ。」
恵の表情から、シノブが気になってることを察したあたしは、よく一緒にいることを少しうしろめたく思った。
「まじー!!恵、よかったねー。紹介してもらえるじゃん!!!」
このことに、一番喜んだのは愛子だった。
恵は、照れたような気まずそうな、なんとも言えない顔をしながら愛子に相槌した。
「あー、いいよ。なんか機会あったら、紹介する。って言ってもあたしだって、顔合わすの練習くらいだよ?」
「大丈夫だよー。あっ。噂をすれば、シノブも学食いるじゃん♪」
愛子の視線の先にはシノブがいた。
やっぱりシノブは目立つ。
・・・・シノブがいるってことは・・・・
そう気づいたとき、あたしの心臓がバクバクし始めた。
自然とあたしの目は誰かを探している。