ROCKな人魚姫《前編》
――バタン
あたしの視界に広がった大講義室は、まさに、ドラマとかで見たことがある風景そのものだ。
映画館のように、後ろへ行くたびに高くなっていく傾斜に、
何百人と座れるだけの机とテープル。
教壇の上には講義で使われると思われるマイク。
高校の時までは、こんな広い教室で、
まして、マイクを使って授業するなんてこと無かったから、
この空間が新鮮でたまらなかった。
自分の知らない空間へ来たことによって、
夢にも一歩近づいた気持ちさえした。