ROCKな人魚姫《前編》
中部屋と呼べるくらいのスペースの座敷。
あたしとエミは入口から一番遠いテーブルの端に座った。
瓶ビールが何本か出され、それぞれのグラスに継いだ。
「みんな、飲み物そろったよね?じゃあ、かんぱーい」
シノブの合図で乾杯すると、グラスに口をつけた。
少し苦い大人の味が口の中に広がる。
シノブとユウは、入口近くにいたため、会話するには遠い距離だった。
最初はエミと二人で話していたが、
お酒が入ったことで、あたしの人見知りも少し緩和され、
他の男の子たちともすんなりと話すことができた。
「俺、シュウ。よろしくな。」
そのなかでも話が盛り上がったのがシュウ。
他県の出身で大学の近くで一人暮らしをしているらしい。