ROCKな人魚姫《前編》
後ろのほうの空いている席にぽつんと座った。
一息ついて辺りを見回すと、いつのまにかみんなグループを作って、楽しそうに会話していた。
この教室に、1人でぽつんといる人なんて、数えるくらいしかいないんじゃないかってくらい、前から友達だったかのように会話が弾んでいるように見える。
・・・いつの間にみんな友達作ったんだか。
あたしは、こんな浮いた存在だから、
大学の門をくぐった時から今まで、
声をかけてきた人なんて一人もいない。
・・・ま、あたしからも声をかけようとしてないから仕方ないんだけど。
『バンドだけできればいい』
って思ってたけど、さすがに友達一人もできないのは、ちょっと寂しい。
だからと言って、あたしから誰かに声をかける勇気はない。
えぇ。
あたし。
こんな派手な格好してますけど、
極度の人見知りなもので・・・。
寂しいけれど仕方ないと、開き直ったとき、一人の人があたしに声をかけてきた。