好きな人の婚約が決まりました。好きな人にキスをされました。
【1章】男爵令嬢メリンダの場合
1.叶わぬ恋と、王太子のキス
わたしは呆然と目を瞬いた。
視界の端に映るのは滑らかな美しい肌と、エメラルドみたいに綺麗な緑色の瞳、風に揺れる美しい金色の髪だけ。あまりにも綺麗で、幻想的で、まるで夢の中にいるみたいだ。
だけど、腰を抱き寄せるたくましい腕、頬を撫でる手のひらの感触、それから唇を覆う温もりが、これは現実だって教えてくれた。
好きな人の婚約が決まった。
それなのに今、わたしは好きな人にキスをされている――――。
視界の端に映るのは滑らかな美しい肌と、エメラルドみたいに綺麗な緑色の瞳、風に揺れる美しい金色の髪だけ。あまりにも綺麗で、幻想的で、まるで夢の中にいるみたいだ。
だけど、腰を抱き寄せるたくましい腕、頬を撫でる手のひらの感触、それから唇を覆う温もりが、これは現実だって教えてくれた。
好きな人の婚約が決まった。
それなのに今、わたしは好きな人にキスをされている――――。
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