好きな人の婚約が決まりました。好きな人にキスをされました。
 社交界の噂についても積極的に集めているが、結婚以降はお茶会や夜会に参加していないらしく、今のところアリスの話は聞こえてこない。外交的で明るいアリスに侯爵夫人として期待するのは、そういった側面だと思っていたのだが。


(もどかしい)


 本当は今すぐ、アリスの様子を見に行きたい。彼女が楽しそうに笑っている姿をこの目で確かめたい。
 そうすれば、こんなふうに気を揉む日々から抜け出せるだろうか?


(いや、無理だろうな)


 どちらにせよ、レヴィはアリスのことを生涯考え続けるのだろう。
 もはや病的としか言いようがない。なんだかんだ言いながら、こうしてアリスのことを考えているときがレヴィは一番幸せなのだから。

 彼はアリスの育ってきた伯爵家をもりたてることで、間接的に彼女の幸せを守ることを誓った。
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