好きな人の婚約が決まりました。好きな人にキスをされました。

3.メリンダと素敵な想像

(どうしよう……)


 布団を引っ被り、メリンダは一人、悶々としていた。

 あの後、どうやってステファンと別れたのか、どうやって寮まで帰ってきたのか、メリンダはまったく覚えていない。完全にパニック状態だった。


 妄想の中でしか起こり得ないことが起きてしまった。いや、本当は夢だったのかもしれない――――そう思いたくなるほどのことが立て続けに起こった。


 ずっと恋い焦がれていたステファンの視界に入った。彼に声をかけられた。
 彼はメリンダの名前を知ってくれていた。呼んでくれた。
 彼はメリンダを想っていると口にした。メリンダにも同じ気持ちを求めた。
 挙句の果てに、ステファンはメリンダに口づけたのだ。
 
 とてもじゃないが、メリンダには未だに信じられない。寧ろ、嘘だと言ってほしかった。
 胸がモヤモヤとしてしまい、スッキリとしない。心の整理が全くできなかった。


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