好きな人の婚約が決まりました。好きな人にキスをされました。
「うーーん、そうか。だったら私はメアリーの気持ちを尊重してあげなければならないなぁ」

「父上⁉ 俺の味方をしてくれるって言ってただろう?」


 ジェラルドが目を見開き、父親のことを凝視する。
 伯爵は小さく息を吐きつつ、息子のことをじっと見つめた。


「味方ならもう十分しただろう? それに、私が想像していたよりもずっと、メアリーが色んな事を考えてこの生活を選んでいるのが分かったからね。これ以上は強要できないよ。
いい機会だ。ジェラルドもそろそろ身分制度や特権階級とはどういうものか、学ぶと良い。私の周りには身分の違いのせいで苦しい思いをした人がたくさんいるからね」


 ちらりとメアリーを見遣りつつ、伯爵は静かに目を伏せる。


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