好きな人の婚約が決まりました。好きな人にキスをされました。
「それでそれで、もしも殿下にプロポーズされたら、今の婚約者との婚約を破棄しなきゃいけないでしょう? きっと揉めるでしょうねぇ……両親や彼がどんな反応をするか想像するとドキドキしちゃう。
それからステファン様側の婚約者問題もあるわよね。私とリズベット様と、どっちを取るのか。どっちも取るとして、どちらが側妃扱いなのか――――まあ、身分を考えたら十中八九私のほうだろうけど! そういうことをハッキリさせなくちゃならないし。
あとは妃教育が大変そうだなぁって心配をするかしら? ものすごく厳しいって噂だもの。
まあでも『困った、どうしよう』って言いながら、本当はとても楽しいし嬉しい――――そんな感じだと思うわ」


 破滅への道のりを朧気に思い描いていたメリンダとは異なり、サルビアの想像はとことん前向きだった。伯爵令嬢と男爵令嬢の違いもあるのだろうが、根本的な考え方が違うようだ。メリンダは感心しつつ、サルビアの方を見つめる。


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