好きな人の婚約が決まりました。好きな人にキスをされました。
(そっか。同い年の男性って、恋愛相手に向かないんだ)


 そんなこと、これまで考えたこともなかった。そもそもメアリーが伯爵邸から出ることは殆ど無いし、屋敷以外の男性とは関わる機会が存在しない。ジェラルドや彼の弟以外の男性がどんな感じか、全く想像がつかなかった。


「ねえ、メアリーはこの屋敷にずっと住んでいるんでしょう?」

「ええ。母がジェラルド様の乳母だったから」

「そっか。それであんなに仲が良いのね。羨ましい〜〜」

「……そう? 羨ましいってどういうところが?」


 どうしてここで羨ましがられるのか、メアリーには理解ができない。首を横にかしげていると、後輩侍女たちはクスクスと笑い声を上げた。


「だって、このままいけば玉の輿じゃない! 伯爵夫人なんて、夢よね、夢!」

「玉の輿……? 伯爵夫人? 一体誰が?」

「またまた! 鈍いふりなんてしなくて良いわよ。ジェラルド様の態度を見てたら誰だって分かるもの。メアリーのことが大好き〜〜っていつも目で訴えてるものね」

「……へ⁉」


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