好きな人の婚約が決まりました。好きな人にキスをされました。
(仕方がない、よね)
どんなに好きでも、上手くいかないことは存在する。
むしろ、好きだからこそ、諦めるべきだと分かっていた。
彼の身体は、人生は、彼一人のものではない。貴族として生まれた以上、彼には果たさなければならない責務があるのだ。
「――――やっぱりここに居た」
そのとき、メアリーはハッと息を呑む。声の主は今一番会いたくて会いたくない人――――ジェラルドだった。
「ジェラルド……わたし」
「行くなよ。お前と話がしたいんだ。それとも、部屋に行ったほうが良い?」
問いかけに、メアリーはブンブン首を横に振る。
婚約が決まった以上、密室でふたりきりになるなど言語道断だ。誰が聞いているとも分からないし、屋外のほうがまだマシだろう。
「あのさ……俺の縁談のことだけど」
話題はやはり、ジェラルドの婚約のことだった。メアリーの胸がズキンと痛む。目頭がひどく熱くなった。
どんなに好きでも、上手くいかないことは存在する。
むしろ、好きだからこそ、諦めるべきだと分かっていた。
彼の身体は、人生は、彼一人のものではない。貴族として生まれた以上、彼には果たさなければならない責務があるのだ。
「――――やっぱりここに居た」
そのとき、メアリーはハッと息を呑む。声の主は今一番会いたくて会いたくない人――――ジェラルドだった。
「ジェラルド……わたし」
「行くなよ。お前と話がしたいんだ。それとも、部屋に行ったほうが良い?」
問いかけに、メアリーはブンブン首を横に振る。
婚約が決まった以上、密室でふたりきりになるなど言語道断だ。誰が聞いているとも分からないし、屋外のほうがまだマシだろう。
「あのさ……俺の縁談のことだけど」
話題はやはり、ジェラルドの婚約のことだった。メアリーの胸がズキンと痛む。目頭がひどく熱くなった。