好きな人の婚約が決まりました。好きな人にキスをされました。
「他の女と結婚するなんて絶対嫌だ。俺にはメアリー以外、考えられない」
勢いよく身体を抱き寄せられ、メアリーは静かに息を呑んだ。
「わたし以外、って……」
「言葉どおりの意味だよ。子供の頃からずっと、メアリーのことが好きだった。俺が結婚したいと思うのはメアリーだけだ。……気づいていただろう?」
ジェラルドの言葉にメアリーの胸が甘く疼く。
彼の気持ちに気づいていなかったと言ったら嘘になる。けれど、だからといってなんになるというのだろう? 事実、彼は他の女性との婚約が決まっているではないか。
「だけどね、ジェラルド――――」
その瞬間、吐息ごと反論の言葉を塞がれる。
頭を強く押さえられ、全くと言っていいほど動かせない。
(なにこれ、どういうこと?)
唇に、生まれてはじめて味わう柔らかな感触。しっとりとした温もり。
ふと見上げれば、ジェラルドの濡れた瞳と視線が絡む。
驚きと戸惑いのあまり、状況が全く理解できない。感情が上手く処理できず、虚無に近い状態だ。
「メアリー」
口づけの合間、ジェラルドがメアリーの名前を呼ぶ。
愛しげに、とても狂しげに。
メアリーの瞳から涙が零れ落ちた。
勢いよく身体を抱き寄せられ、メアリーは静かに息を呑んだ。
「わたし以外、って……」
「言葉どおりの意味だよ。子供の頃からずっと、メアリーのことが好きだった。俺が結婚したいと思うのはメアリーだけだ。……気づいていただろう?」
ジェラルドの言葉にメアリーの胸が甘く疼く。
彼の気持ちに気づいていなかったと言ったら嘘になる。けれど、だからといってなんになるというのだろう? 事実、彼は他の女性との婚約が決まっているではないか。
「だけどね、ジェラルド――――」
その瞬間、吐息ごと反論の言葉を塞がれる。
頭を強く押さえられ、全くと言っていいほど動かせない。
(なにこれ、どういうこと?)
唇に、生まれてはじめて味わう柔らかな感触。しっとりとした温もり。
ふと見上げれば、ジェラルドの濡れた瞳と視線が絡む。
驚きと戸惑いのあまり、状況が全く理解できない。感情が上手く処理できず、虚無に近い状態だ。
「メアリー」
口づけの合間、ジェラルドがメアリーの名前を呼ぶ。
愛しげに、とても狂しげに。
メアリーの瞳から涙が零れ落ちた。