好きな人の婚約が決まりました。好きな人にキスをされました。
***
メアリーは侍女長に断りを入れたあと、アリティアを自分の部屋に連れて行った。
令嬢の服装のまま屋敷をうろつかれては人目につく。連れ回るにしても、まずはアリティアの目的をはっきりとさせる必要があると考えたのだ。
「むさ苦しい場所ですみません。本当は応接室にご案内すべきなのに……」
「とんでもないわ。無理を言ったのは私の方だもの。
それにしても懐かしい……私ね、幼い頃はちょうどこんな部屋で両親と一緒に生活をしていたのよ?」
「……そう、でしたか」
侯爵令嬢なのに?
そんな疑問の言葉を飲み込んで、メアリーはそっと首を傾げた。
「素敵なお屋敷ね。綺麗だし、温かい雰囲気でとても気に入ったわ」
「……ありがとうございます。お嬢様に気に入っていただけて光栄です」
本来ならば、侍女であるメアリーがこういったことを言うべきではないだろう。けれど、アリティアの意向を汲み、メアリーは彼女との会話を続ける。
「本当に、うちの屋敷とは大違い。これなら上手くやっていけるかしら」
どこか遠い目をして、アリティアは微笑む。メアリーはほんのりと目を見開き、彼女のことを見つめた。
メアリーは侍女長に断りを入れたあと、アリティアを自分の部屋に連れて行った。
令嬢の服装のまま屋敷をうろつかれては人目につく。連れ回るにしても、まずはアリティアの目的をはっきりとさせる必要があると考えたのだ。
「むさ苦しい場所ですみません。本当は応接室にご案内すべきなのに……」
「とんでもないわ。無理を言ったのは私の方だもの。
それにしても懐かしい……私ね、幼い頃はちょうどこんな部屋で両親と一緒に生活をしていたのよ?」
「……そう、でしたか」
侯爵令嬢なのに?
そんな疑問の言葉を飲み込んで、メアリーはそっと首を傾げた。
「素敵なお屋敷ね。綺麗だし、温かい雰囲気でとても気に入ったわ」
「……ありがとうございます。お嬢様に気に入っていただけて光栄です」
本来ならば、侍女であるメアリーがこういったことを言うべきではないだろう。けれど、アリティアの意向を汲み、メアリーは彼女との会話を続ける。
「本当に、うちの屋敷とは大違い。これなら上手くやっていけるかしら」
どこか遠い目をして、アリティアは微笑む。メアリーはほんのりと目を見開き、彼女のことを見つめた。