好きな人の婚約が決まりました。好きな人にキスをされました。
「なるほどね……メアリーはジェラルドのことを好いてくれているのか」
「はい。
ダメだって分かっていても、止められませんでした。本当に、旦那様には申し訳なく思っております。
だけどわたしは……」
その瞬間、メアリーの身体を誰かがすっぽりと包み込む。ここ最近で慣れ親しんだ上品で甘いコロンの香り。
顔を上げたら、そこにはメアリーの想い人――――ジェラルドが居た。
「メアリー」
額を濡らすジェラルドの涙。彼はとても嬉しそうに微笑んでいて、メアリーは思わず目を見開いた。
「試すようなことをしてすまなかったね、メアリー。
ジェラルドは頑固だし、説得したところで言うことを聞かないからね。『家督を捨てる覚悟があるならメアリーとの結婚を許す』と約束をしたんだ。
けれど、私だってジェラルドのことは可愛い。この子一人の想いだけで、そんな重大なことを決めたくはなかった。
だから、この子の覚悟に見合うだけの想いが君にあるのか、きちんと確認したかったんだ」
ふと見れば、伯爵は悲しそうな、けれど嬉しそうな表情で笑っている。メアリーの瞳から涙が零れ落ちた。
「はい。
ダメだって分かっていても、止められませんでした。本当に、旦那様には申し訳なく思っております。
だけどわたしは……」
その瞬間、メアリーの身体を誰かがすっぽりと包み込む。ここ最近で慣れ親しんだ上品で甘いコロンの香り。
顔を上げたら、そこにはメアリーの想い人――――ジェラルドが居た。
「メアリー」
額を濡らすジェラルドの涙。彼はとても嬉しそうに微笑んでいて、メアリーは思わず目を見開いた。
「試すようなことをしてすまなかったね、メアリー。
ジェラルドは頑固だし、説得したところで言うことを聞かないからね。『家督を捨てる覚悟があるならメアリーとの結婚を許す』と約束をしたんだ。
けれど、私だってジェラルドのことは可愛い。この子一人の想いだけで、そんな重大なことを決めたくはなかった。
だから、この子の覚悟に見合うだけの想いが君にあるのか、きちんと確認したかったんだ」
ふと見れば、伯爵は悲しそうな、けれど嬉しそうな表情で笑っている。メアリーの瞳から涙が零れ落ちた。