好きな人の婚約が決まりました。好きな人にキスをされました。
【終章】たとえばこんなエピローグ
1.侯爵令嬢アリティアの場合
ある晴れた日の午後のこと、侯爵令嬢アリティアは、婚約者の屋敷を訪れていた。
「本当に、いつ来てもこの屋敷は落ち着くわね。私の実家とは大違いだわ」
花々で彩られた明るい庭園。テーブルには美味しいお茶と茶菓子が並べられ、とても穏やかな時間を過ごせている。
はじめて訪れたときから、アリティアはこの屋敷が好きだった。
丁寧に手入れをされた草花、品よく古いが大切に使われている調度類。住人たちの人柄が見えてきて、和やかな気持ちになることができる。
実際、主人である伯爵も、使用人たちも、婚約者自身も親切温厚で優しかった。
「そんなふうに言ってもらえて光栄だな。こんなことなら、アカデミーになんて入るんじゃなかったよ。そうすればもっと頻繁に来てもらえたのに」
茶目っ気たっぷりに口にするのは、ジェラルドに代わって伯爵位を継ぐことになったジェフリーだ。
アリティアと同い年の16歳で、昨年、婚約とほぼ同時にアカデミーへ入学している。
兄とは少しタイプが異なるが、明るく真面目で、領主向きの好青年である。
「本当に、いつ来てもこの屋敷は落ち着くわね。私の実家とは大違いだわ」
花々で彩られた明るい庭園。テーブルには美味しいお茶と茶菓子が並べられ、とても穏やかな時間を過ごせている。
はじめて訪れたときから、アリティアはこの屋敷が好きだった。
丁寧に手入れをされた草花、品よく古いが大切に使われている調度類。住人たちの人柄が見えてきて、和やかな気持ちになることができる。
実際、主人である伯爵も、使用人たちも、婚約者自身も親切温厚で優しかった。
「そんなふうに言ってもらえて光栄だな。こんなことなら、アカデミーになんて入るんじゃなかったよ。そうすればもっと頻繁に来てもらえたのに」
茶目っ気たっぷりに口にするのは、ジェラルドに代わって伯爵位を継ぐことになったジェフリーだ。
アリティアと同い年の16歳で、昨年、婚約とほぼ同時にアカデミーへ入学している。
兄とは少しタイプが異なるが、明るく真面目で、領主向きの好青年である。