好きな人の婚約が決まりました。好きな人にキスをされました。
3.国王陛下ステファンの場合
夢でも見ているのだろうか――――ステファンは静かに目を見開く。
ストロベリーブラウンの柔らかな髪、薄紫色の透き通った瞳、整った愛らしい顔立ち。
どれを取っても記憶の中の愛しい人とちっとも変わらない。
「メリンダ……」
ステファンが呟く。
この19年間、メリンダを忘れたことは一度たりともなかった。
妃となったリズベットとの関係は至って良好だったし、子だって成したけれど、二人の関係はまるで戦友のようなもの。互いに男女の愛情が存在するわけではなかった。
『あなたのその愛情が、国のために繋がるなら、わたくしはそれで構いませんわ』
リズベットが微笑む。
彼女が愛していたのは妃としての自分であり、国そのものだった。
だからこそ、リズベットはステファンがメリンダを思い続けることを許してくれたのである。
ステファンは毎日毎晩メリンダのことを思い出しては、彼女の幸せをひたすらに願う――――幸せでいられるようにと政務を必死にこなしてきた。王太子から国王へ即位して以降も、それはちっとも変わらない。彼の想いは揺らがなかった。
だから、古参の一人から『メリンダによく似た女性が城に来ている』と聞かされて、じっとはしていられなかった。
ストロベリーブラウンの柔らかな髪、薄紫色の透き通った瞳、整った愛らしい顔立ち。
どれを取っても記憶の中の愛しい人とちっとも変わらない。
「メリンダ……」
ステファンが呟く。
この19年間、メリンダを忘れたことは一度たりともなかった。
妃となったリズベットとの関係は至って良好だったし、子だって成したけれど、二人の関係はまるで戦友のようなもの。互いに男女の愛情が存在するわけではなかった。
『あなたのその愛情が、国のために繋がるなら、わたくしはそれで構いませんわ』
リズベットが微笑む。
彼女が愛していたのは妃としての自分であり、国そのものだった。
だからこそ、リズベットはステファンがメリンダを思い続けることを許してくれたのである。
ステファンは毎日毎晩メリンダのことを思い出しては、彼女の幸せをひたすらに願う――――幸せでいられるようにと政務を必死にこなしてきた。王太子から国王へ即位して以降も、それはちっとも変わらない。彼の想いは揺らがなかった。
だから、古参の一人から『メリンダによく似た女性が城に来ている』と聞かされて、じっとはしていられなかった。