好きな人の婚約が決まりました。好きな人にキスをされました。
「ぐっすり? そうか……意外だなぁ。僕のほうはドキドキして、ちっとも眠ることができなかったのに。メリンダはすごいね。肝が座っている」
(なっ……!?)
さり気なくなにかがあったことを匂わせるステファンに、メリンダは内心ビクビクしてしまう。
けれど、周囲に動揺を悟られる訳にはいかない。声を上げそうになるのを必死で堪えた。
「だけど、幸せな夢か……なるほど。それは『嬉しかった』と――――僕と同じ気持ちだって受け取っても良いのかな? 僕は夢を夢で終わらせる気はないんだけれど、メリンダも一緒ってことで良いんだよね?」
「――――――申し訳ございませんが、わたくしにはなんのことだか分かりません。夢は夢です。それ以上でも以下でもございませんわ」
周囲の勘ぐるような視線に気づかないふりをしながらメリンダはそっと首を傾げる。それから彼女は「失礼します」と口にし、ゆったりとした歩調でその場を後にした。
けれど、部屋を出て、一人きりになったその瞬間、メリンダはズルズルとその場に座り込む。
(なっ……!?)
さり気なくなにかがあったことを匂わせるステファンに、メリンダは内心ビクビクしてしまう。
けれど、周囲に動揺を悟られる訳にはいかない。声を上げそうになるのを必死で堪えた。
「だけど、幸せな夢か……なるほど。それは『嬉しかった』と――――僕と同じ気持ちだって受け取っても良いのかな? 僕は夢を夢で終わらせる気はないんだけれど、メリンダも一緒ってことで良いんだよね?」
「――――――申し訳ございませんが、わたくしにはなんのことだか分かりません。夢は夢です。それ以上でも以下でもございませんわ」
周囲の勘ぐるような視線に気づかないふりをしながらメリンダはそっと首を傾げる。それから彼女は「失礼します」と口にし、ゆったりとした歩調でその場を後にした。
けれど、部屋を出て、一人きりになったその瞬間、メリンダはズルズルとその場に座り込む。