好きな人の婚約が決まりました。好きな人にキスをされました。
(なんなの、あれ……)
火照った頬を手のひらで冷ましながら、メリンダは首を横に振った。
メリンダは昨日、はじめてステファンに話しかけられた。
ステファンが自分の名前を知っていると知ったのもそのときで、彼との会話はあの一回きりだと思っていた。
けれど彼は、再びメリンダに声をかけてきた。
それも、他にも使用人たちがたくさんいる朝食の場で、メリンダだけに声をかけ、彼女を特別扱いした。
おまけにステファンは、メリンダとの関係を――――彼女とキスをしたことを、周囲にバレても良いと思っているような口ぶりだった。匂わせようとしていた。
戸惑うなというほうがどうかしている。メリンダは大きく息を吐いた。
先ほど平静を装った反動だろうか? 今になって心臓がバクバクと嫌な音を立てて鳴り響いている。全身を冷たい汗が流れ、手のひらがブルブルと震えだす。己をかばうようにして、メリンダは自分自身をギュッと抱きしめた。
火照った頬を手のひらで冷ましながら、メリンダは首を横に振った。
メリンダは昨日、はじめてステファンに話しかけられた。
ステファンが自分の名前を知っていると知ったのもそのときで、彼との会話はあの一回きりだと思っていた。
けれど彼は、再びメリンダに声をかけてきた。
それも、他にも使用人たちがたくさんいる朝食の場で、メリンダだけに声をかけ、彼女を特別扱いした。
おまけにステファンは、メリンダとの関係を――――彼女とキスをしたことを、周囲にバレても良いと思っているような口ぶりだった。匂わせようとしていた。
戸惑うなというほうがどうかしている。メリンダは大きく息を吐いた。
先ほど平静を装った反動だろうか? 今になって心臓がバクバクと嫌な音を立てて鳴り響いている。全身を冷たい汗が流れ、手のひらがブルブルと震えだす。己をかばうようにして、メリンダは自分自身をギュッと抱きしめた。