好きな人の婚約が決まりました。好きな人にキスをされました。
「メリンダ、好きだよ。昨夜も伝えたが、僕が愛しいと思うのは君だけだ」


 甘い言葉。甘い口づけ。
 夢よりも甘い現実に、メリンダはうっとりと酔いしれながら、涙を流す。


「わたしも、ステファン殿下のことが好きです。心からお慕い申し上げております。このままずっと、貴方と一緒に居たい」


 素直な気持ちを認めてしまえば、これまで苦しかったのが嘘のよう。驚くほどに楽になった。

 二人の関係を咎めるものも、邪魔をするものも、この世に一つもなかったのではないか――――そんなふうに思えてくる。


「今夜も昨日と同じ時間にこの部屋に来てほしい。待っているから」


 欲に濡れた瞳を前に、メリンダは微笑む。返事の代わりにステファンの唇に口づけを落とし、二人は互いを抱きしめあった。


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