好きな人の婚約が決まりました。好きな人にキスをされました。
「別に私は怒ってるわけじゃないし、謝ってもらうことでもないと思うのよ。そもそも断れるような相手じゃないんだし。私は貴女自身が納得していて、幸せなら、それで良いと思ってるの」
「……分かっているわ。わたし自身、そんなふうに自分に言い訳をしていたの。
だけど最近、わたしがわたしじゃないみたいで、とても怖いしすごく嫌なのよ」
夢はひとたび現実になってしまえば、夢ではなくなる。
最初はふわふわと楽しくても、段々と地に足が付いて、やがては目が覚めてしまう。
こんなこと、ステファンには決して言えない。けれどメリンダは、自分のほんとうの気持ちが分からなくなってきていた。
「そうなんじゃないかなって私も思ったの。だからこうして尋ねてみたんだ。メリンダが悩んでいるように――――迷っているように見えたから」
サルビアは穏やかに微笑むと、メリンダの肩を優しく叩く。メリンダは瞳をブルリと震わせ、それから静かに息を吐いた。
「ごめんなさい。わたし、まだ……」
今はまだ、きちんと自分の心が整理できていない。サルビアに話をしようにも、どこから、何を話せば良いのか分からず、上手く言葉が出てこないのだ。
「大丈夫、無理に話さなくていいの。だけど、必要なら聞くから。いつでも頼ってよね」
「うん……ありがとう」
その日は、そんなふうに会話を終えた。
「……分かっているわ。わたし自身、そんなふうに自分に言い訳をしていたの。
だけど最近、わたしがわたしじゃないみたいで、とても怖いしすごく嫌なのよ」
夢はひとたび現実になってしまえば、夢ではなくなる。
最初はふわふわと楽しくても、段々と地に足が付いて、やがては目が覚めてしまう。
こんなこと、ステファンには決して言えない。けれどメリンダは、自分のほんとうの気持ちが分からなくなってきていた。
「そうなんじゃないかなって私も思ったの。だからこうして尋ねてみたんだ。メリンダが悩んでいるように――――迷っているように見えたから」
サルビアは穏やかに微笑むと、メリンダの肩を優しく叩く。メリンダは瞳をブルリと震わせ、それから静かに息を吐いた。
「ごめんなさい。わたし、まだ……」
今はまだ、きちんと自分の心が整理できていない。サルビアに話をしようにも、どこから、何を話せば良いのか分からず、上手く言葉が出てこないのだ。
「大丈夫、無理に話さなくていいの。だけど、必要なら聞くから。いつでも頼ってよね」
「うん……ありがとう」
その日は、そんなふうに会話を終えた。