好きな人の婚約が決まりました。好きな人にキスをされました。
メリンダは元々誰かの犠牲の上に成り立つ恋を楽しめるようなタイプではない。人より優位に立つことを喜べるタイプでもない。
リズベットからステファンを略奪しようと思ったことはないし、並び立とうとすら思っていなかった。
どうしよう、どうなるんだろうと悩んだふりをしつつ、将来のことを本気で考えたことがなかったのだと思い知る。
彼女はただ、ステファンを愛し、愛されたかった。
それだけの女なのだ。
愕然とするメリンダを横目で見つつ、サルビアは静かに息を吐く。
「殿下はどうしても貴女との結婚を望んでいらっしゃるみたい。既に重臣たちを巻き込んで、陛下の合意を引き出そうと動いていらっしゃるの」
「そんな……! なんてことを! だけど、わたしに妃なんて無理よ!」
幼い頃から特別な教育を受けてきたわけでもなければ、地頭も要領も決して良いとは言い難い。
広い視野で物事を見ることもできなければ、何か一つ飛び抜けた特技があるわけでもない。
メリンダにできるのは、ステファンを愛することだけだ。
本当にそれだけ――――それしかないのだ。
そもそも、恋に盲目になっていた時点で、彼女に妃となる資格はない。
リズベットからステファンを略奪しようと思ったことはないし、並び立とうとすら思っていなかった。
どうしよう、どうなるんだろうと悩んだふりをしつつ、将来のことを本気で考えたことがなかったのだと思い知る。
彼女はただ、ステファンを愛し、愛されたかった。
それだけの女なのだ。
愕然とするメリンダを横目で見つつ、サルビアは静かに息を吐く。
「殿下はどうしても貴女との結婚を望んでいらっしゃるみたい。既に重臣たちを巻き込んで、陛下の合意を引き出そうと動いていらっしゃるの」
「そんな……! なんてことを! だけど、わたしに妃なんて無理よ!」
幼い頃から特別な教育を受けてきたわけでもなければ、地頭も要領も決して良いとは言い難い。
広い視野で物事を見ることもできなければ、何か一つ飛び抜けた特技があるわけでもない。
メリンダにできるのは、ステファンを愛することだけだ。
本当にそれだけ――――それしかないのだ。
そもそも、恋に盲目になっていた時点で、彼女に妃となる資格はない。