好きな人の婚約が決まりました。好きな人にキスをされました。
「申し訳ございません……何分体調が悪かったもので。殿下にうつしたらいけないと思いましたの。伝言を頼むわけにもまいりませんし、お待たせして申し訳ないとは思っていたのですが」
メリンダの具合が悪かったのは本当の話だ。もうずっと、心がモヤモヤしていて気持ちが悪くてたまらない。流行病ではないのだが、体調が悪かったと言えばさすがのステファンも分かってくれるだろう――――しかし、そんなメリンダの目論見は、辛くも崩れ去ってしまった。
「具合が悪かった? それなのに、メリンダは僕を頼ってくれなかったのかい?」
「……え?」
「療養するなら僕の部屋ですればよかったんだ。そうすれば、ずっと側にいられたのに」
ステファンは苦しげに眉根を寄せ、メリンダの頬を優しく撫でる。メリンダは胸が苦しくなった。
「僕なら絶対メリンダに側に居てほしいと思う。苦しいときほど、メリンダの顔が見たい。甘えたくなるし、触れていたいとそう思うんだ。
それなのに、メリンダは僕を頼ってくれないなんて……悲しいよ」
「……けれど、ステファン殿下、あなたは王太子でいらっしゃいます。何か大事があってはいけないお方です。もっと御身を大切にしていただかないと――――」
「僕は自分の身体より、メリンダの方が大事だ」
額に、頬に優しく口付けられ、メリンダは目頭が熱くなる。
メリンダの具合が悪かったのは本当の話だ。もうずっと、心がモヤモヤしていて気持ちが悪くてたまらない。流行病ではないのだが、体調が悪かったと言えばさすがのステファンも分かってくれるだろう――――しかし、そんなメリンダの目論見は、辛くも崩れ去ってしまった。
「具合が悪かった? それなのに、メリンダは僕を頼ってくれなかったのかい?」
「……え?」
「療養するなら僕の部屋ですればよかったんだ。そうすれば、ずっと側にいられたのに」
ステファンは苦しげに眉根を寄せ、メリンダの頬を優しく撫でる。メリンダは胸が苦しくなった。
「僕なら絶対メリンダに側に居てほしいと思う。苦しいときほど、メリンダの顔が見たい。甘えたくなるし、触れていたいとそう思うんだ。
それなのに、メリンダは僕を頼ってくれないなんて……悲しいよ」
「……けれど、ステファン殿下、あなたは王太子でいらっしゃいます。何か大事があってはいけないお方です。もっと御身を大切にしていただかないと――――」
「僕は自分の身体より、メリンダの方が大事だ」
額に、頬に優しく口付けられ、メリンダは目頭が熱くなる。