好きな人の婚約が決まりました。好きな人にキスをされました。
「嘘だろう、メリンダ。どうして? どうしてそんなことを……」
「殿下には他にふさわしいご令嬢が――――リズベット様がいらっしゃいます」
メリンダの返答に、ステファンはアハハ! と笑い声を上げる。そんなことか、と呟く彼に、メリンダはそっと目を伏せた。
「大丈夫だよ、メリンダ。僕の妃になるのは君だ。君だけだ。
リズベットとは正式に婚約を結んでいないし……実は今、彼女との破談に向けて動いているんだ! 父上もきっと納得してくれる。何も心配は――――」
「世の中には想いだけでは上手くいかないことがたくさんございます」
ステファンの腕からするりと抜け出し、メリンダはハッキリと拒絶の言葉を口にする。ステファンは傷ついた表情を浮かべつつ、真っ直ぐに彼女を見つめた。
「もしもわたしたちが平民で、なんのしがらみもなかったなら、生涯添い遂げることができたのかもしれません。
けれどステファン殿下は王太子で、わたしは何の取り柄もない男爵家の娘です。
わたしには国民のためにできることが殆どありません。そのための努力を何もしてこなかったし、そもそもの資質がないのです」
「資質?」
ステファンは再び、ハハ、と乾いた笑みを浮かべた。
「殿下には他にふさわしいご令嬢が――――リズベット様がいらっしゃいます」
メリンダの返答に、ステファンはアハハ! と笑い声を上げる。そんなことか、と呟く彼に、メリンダはそっと目を伏せた。
「大丈夫だよ、メリンダ。僕の妃になるのは君だ。君だけだ。
リズベットとは正式に婚約を結んでいないし……実は今、彼女との破談に向けて動いているんだ! 父上もきっと納得してくれる。何も心配は――――」
「世の中には想いだけでは上手くいかないことがたくさんございます」
ステファンの腕からするりと抜け出し、メリンダはハッキリと拒絶の言葉を口にする。ステファンは傷ついた表情を浮かべつつ、真っ直ぐに彼女を見つめた。
「もしもわたしたちが平民で、なんのしがらみもなかったなら、生涯添い遂げることができたのかもしれません。
けれどステファン殿下は王太子で、わたしは何の取り柄もない男爵家の娘です。
わたしには国民のためにできることが殆どありません。そのための努力を何もしてこなかったし、そもそもの資質がないのです」
「資質?」
ステファンは再び、ハハ、と乾いた笑みを浮かべた。