好きな人の婚約が決まりました。好きな人にキスをされました。
「ステファン殿下――――お許しください。わたしが愛していたのは、恋に恋する自分でした」
言いながら、メリンダはそっと目を瞑る。
まるで夢を見ているときのように、穏やかな幸せそうな表情で。
そのあまりの美しさに、ステファンは思わず息を呑んだ。
「わたしは凛々しくて優しくて、誰の目にも理想的な、完璧な王子様であるステファン殿下が好きで――――そんな貴方に愛される自分が何よりも可愛く、愛しかったのです」
メリンダが微笑む。ステファンは床にしゃがみ込んだ己の姿を顧みつつ、強く胸が傷んだ。
「貴方に声をかけられる夢を見てはふわふわと浮足立って、とても楽しくて。妃としてちやほやされる夢を見たことだってありました」
「……そうか! だったら」
それでも良い――――ステファンはそう言おうとしたのだが、メリンダは首を横に振り、彼の言葉を遮った。
「けれどわたしは、貴方が決して完璧な人じゃないと知って、すっかり夢から覚めてしまいました」
「……え?」
あまりにも思いがけないセリフに、ステファンは返す言葉を失ってしまう。
メリンダは眉間に皺を寄せつつ、彼からそっと視線を外した。
言いながら、メリンダはそっと目を瞑る。
まるで夢を見ているときのように、穏やかな幸せそうな表情で。
そのあまりの美しさに、ステファンは思わず息を呑んだ。
「わたしは凛々しくて優しくて、誰の目にも理想的な、完璧な王子様であるステファン殿下が好きで――――そんな貴方に愛される自分が何よりも可愛く、愛しかったのです」
メリンダが微笑む。ステファンは床にしゃがみ込んだ己の姿を顧みつつ、強く胸が傷んだ。
「貴方に声をかけられる夢を見てはふわふわと浮足立って、とても楽しくて。妃としてちやほやされる夢を見たことだってありました」
「……そうか! だったら」
それでも良い――――ステファンはそう言おうとしたのだが、メリンダは首を横に振り、彼の言葉を遮った。
「けれどわたしは、貴方が決して完璧な人じゃないと知って、すっかり夢から覚めてしまいました」
「……え?」
あまりにも思いがけないセリフに、ステファンは返す言葉を失ってしまう。
メリンダは眉間に皺を寄せつつ、彼からそっと視線を外した。