好きな人の婚約が決まりました。好きな人にキスをされました。
「――――メリンダなら居ないわ。昨夜遅くに城を発ったの」
ため息を吐きつつ、幼い妹姫は窓の外をちらりと見遣った。
ステファンは乾いた笑い声を上げつつ、キョロキョロと視線をさまよわせる。
「城を発った? 一体どこに……」
「お兄様に見つからない場所」
嫌な予感が当たってしまった。
ステファンは室内を走って見て回り、メリンダの姿がないことを確認し、部屋を飛び出そうとした。けれど、すんでのところでゾフィーに腕を掴まれてしまう。
彼女は首をゆっくりと横に振り、視線だけでステファンを諌める。ステファンは目を見開き、ぺたりとその場に座り込んだ。
「ゾフィー……君はメリンダの行き先を知っているんだろう?」
「知らないわ。馬車だってわたくしが用意したものではないもの」
「そんな馬鹿な! 昨日の今日で……君じゃなかったら、一体誰が手引を?」
ステファンが問う。ゾフィーは何も答えない。
焦れたステファンは、首を横に振りつつ、妹の手を振り払った。
「――――もう良い。僕はメリンダを迎えに行く! しばらく城には帰らない! 国中に触れを出して、それから――――」
「お兄様!」
ゾフィーは大きく声を張り上げたかと思うと、そのままポロポロと涙を零した。
ため息を吐きつつ、幼い妹姫は窓の外をちらりと見遣った。
ステファンは乾いた笑い声を上げつつ、キョロキョロと視線をさまよわせる。
「城を発った? 一体どこに……」
「お兄様に見つからない場所」
嫌な予感が当たってしまった。
ステファンは室内を走って見て回り、メリンダの姿がないことを確認し、部屋を飛び出そうとした。けれど、すんでのところでゾフィーに腕を掴まれてしまう。
彼女は首をゆっくりと横に振り、視線だけでステファンを諌める。ステファンは目を見開き、ぺたりとその場に座り込んだ。
「ゾフィー……君はメリンダの行き先を知っているんだろう?」
「知らないわ。馬車だってわたくしが用意したものではないもの」
「そんな馬鹿な! 昨日の今日で……君じゃなかったら、一体誰が手引を?」
ステファンが問う。ゾフィーは何も答えない。
焦れたステファンは、首を横に振りつつ、妹の手を振り払った。
「――――もう良い。僕はメリンダを迎えに行く! しばらく城には帰らない! 国中に触れを出して、それから――――」
「お兄様!」
ゾフィーは大きく声を張り上げたかと思うと、そのままポロポロと涙を零した。