好きな人の婚約が決まりました。好きな人にキスをされました。
アリスが結婚するということは、彼女との別れを意味している。嫁ぎ先にレヴィがついていくことは当然できない。アリスがこの家に戻ってくるのは数年に一回が精々だろう。
寂しくないと言ったら嘘になる。悲しくないと言ったら嘘になる。
それでもレヴィは、アリスには結婚をして、夫に愛され、幸せになってほしいと心から願っていた。
「――――私はいつでも、この家におります。お嬢様のお戻りをお待ちしております。ですからアリスお嬢様は安心して、どこへでも行ってらっしゃいませ」
レヴィの返答を聞き、アリスは眉間に皺を寄せる。それから小さくため息を吐いた。
「私は何処にも行きたくないのよ。レヴィと一緒にいたいの。
……このまま時間が止まっちゃえばいいのに」
二人の距離は離れていて、触れられる距離にはまったくない。
だというのに、レヴィはアリスに縋り付かれているような感覚がして、己の腕をちらりと見遣る。
熱を帯びて潤んだ眼差し。優しくしてやりたい。甘やかしてやりたい――――それと同じぐらい強い感情がレヴィの中で暴れている。
レヴィは自分の気持ちに気づかないふりをしながら、なんでもない顔をして笑った。
寂しくないと言ったら嘘になる。悲しくないと言ったら嘘になる。
それでもレヴィは、アリスには結婚をして、夫に愛され、幸せになってほしいと心から願っていた。
「――――私はいつでも、この家におります。お嬢様のお戻りをお待ちしております。ですからアリスお嬢様は安心して、どこへでも行ってらっしゃいませ」
レヴィの返答を聞き、アリスは眉間に皺を寄せる。それから小さくため息を吐いた。
「私は何処にも行きたくないのよ。レヴィと一緒にいたいの。
……このまま時間が止まっちゃえばいいのに」
二人の距離は離れていて、触れられる距離にはまったくない。
だというのに、レヴィはアリスに縋り付かれているような感覚がして、己の腕をちらりと見遣る。
熱を帯びて潤んだ眼差し。優しくしてやりたい。甘やかしてやりたい――――それと同じぐらい強い感情がレヴィの中で暴れている。
レヴィは自分の気持ちに気づかないふりをしながら、なんでもない顔をして笑った。