幼馴染みの秘めた溺愛  ~お前は女神でヒーローで
…あれ…あたし……?


ゆっくりと目を開けると、見えたのは白い天井とお母さんの心配そうな顔。

「美桜、わかる?お母さんよ」

「…お母さん…あたし…」

「ここ病院よ。家が火事で…樹王くんが美桜を助け出してくれたのよ、わかる?」

「樹王が…」

そういえば…薄れゆく意識の中に、樹王がいたような気がする…

助けに来てくれた…
私を助けてくれたんだ…

樹王…ありがとう…
やっぱり樹王は私のヒーローだよ…


「お母さんは怪我とかしてない?」

「うん、ピンピンしてるから大丈夫よ」

「良かった…。あ…家は…?」

「半焼だって。樹王くんや他の消防士さん達が必死に火を消してくれたおかげね」

「そっか…お父さんとの思い出の詰まった家なのに……でも…お母さんも私も生きてるもんね、お父さんも安心してるよね」

「そうね。家はもう住めないけど、思い出は心に残ってるもの。…アルバムも残ってるといいわね」

「うん…そうだね」

「美桜、体はどう?まだ熱は下がってないわよね」

「うん…まだだるい感じ」

「そうよね…じゃあ看護師さんに気が付いたことを知らせてくるね」
とお母さんは病室を出ていった。




…あの二階からどう助け出されたのかも…救急車に乗せられたことも…全く覚えていない。

でも消防服で力強く抱きかかえられた感触は何となく覚えてる。

あれは樹王だったんだ…


初めて樹王に抱きかかえられたのが火事の時だなんて…
男女の色恋とはかけ離れていて、ほんと笑える…
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