幼馴染みの秘めた溺愛 ~お前は女神でヒーローで
その日のお昼前に、弟の桜雅が病院に来てくれた。
「姉ちゃん、大丈夫か?」
「うん、熱もほぼ下がったから。ごめんね、忙しいのに」
「何言ってんだよ、家族の一大事だってのに仕事なんてやってらんないよ」
「ありがとう、相変わらず優しいね」
「樹王兄(にい)が助けてくれたってね」
「そうみたい。…私は記憶が定かでないんだけど」
「樹王兄に会いたいな」
「そうね、みんなでお礼しようね」
と話していた所に病室の扉をノックする音が聞こえ、私服姿の樹王が入ってきた。
「樹王…」
「あっ美桜、目ぇ覚めたか!…良かった…マジで良かった」
樹王が、はぁー…と大きく息を吐いた。
「樹王…本当に危ないところを助けてくれたんだってね、ありがとう。樹王も無事でよかった」
「樹王兄、姉ちゃんを助けてくれて本当にありがとう!」
「樹王くんも危険だったのに、美桜の命を救ってくれて本当にありがとうね」
いきなり私達家族三人からお礼を言われた樹王はちょっとびっくりしてる。
「仕事ではあるけど、まぁ昔から美桜を助けるのは俺の役目だと思ってるしな」
なんて照れ隠しのドヤ顔の樹王に微笑んだ。
「樹王…ありがとう」
「何か美桜にそんなに礼を言われると調子狂うんだけど」
頭をカシカシッと掻いて苦笑い。
「なっ…ありがたいって思うからそう言ってるのに」
「はは、ごめんって。お礼の言葉はありがたーく頂戴しとくから」
「樹王兄と姉ちゃんは相変わらずだね」
「まぁね、幼馴染みだもん」
昔も今も…これからも…
きっと変わることのない間柄。
「でも樹王くんの住まいも失くなっちゃったわね…ごめんね…」
「おばちゃん何言ってんだよ。俺は住まわせてもらってたんだから。…でも現実問題として住むとこは探さないとな、美桜ん家も俺も」
「それなんだけど美桜、お母さんと一緒に利絵の所に行かない?部屋も空いてるから良かったら来ないかって。美桜の仕事はどこでもできるじゃない?だから一緒にって思ったんだけど」
確かに私は道具と身一つで仕事できる。
だけど…隣の県なんだよね、利絵おばさん家。
「えっと…」
樹王と離れたくない…
離れたら…きっと樹王に彼女ができちゃう…
なんて、私はわがままで勝手だな…
でも…好きなんだもん…近くにいたいよ…
すると、返事に詰まる私に、桜雅がとんでもない提案をした。
「じゃあさ、姉ちゃんは樹王兄と暮らせば?」
「…え?」
「だってさ、樹王兄も家を探さないとなんでしょ?なら二人で住めば家賃も家事も負担は半分だしさ。それに姉ちゃんだって編集さんとの打ち合わせもあるし、利絵おばさん家よりこっちの方が便利じゃん?」
…そりゃあ私は嬉しいけど…
でも樹王がどう思うか…
なんて危惧していたら。
「それいいな、桜雅。ナイスアイディア!」
って樹王が桜雅の肩をパン!と叩いた。
「え…樹王はいいの?」
「あぁ、イイ話じゃん、お互いに」
そう軽く言うから…
「まぁ一人暮らしより助かる部分は多いけど」
なんて、利便性で決めた様に言ってみた。
「よし、決まりだな。おばちゃん、俺が美桜と暮らしてもいいかな」
「もちろんよ。一人暮らしさせるより樹王くんがいてくれた方が安心だもの」
「じゃあ急いだ方がいいな。ネットで調べて明日不動産屋に行ってみるよ。美桜はどんなとこがいい?」
「あ…少し考えていい?アパートとかって住んだことないからよく分からなくて…後で調べてみるから、夜に連絡するのでもいい?」
「そうだよな、ごめん、急に言われても困るよな」
「ううん。忙しいのに面倒事頼んじゃって、こっちこそごめん」
「何言ってんだよ、できる奴がする。これ常識な」
「…ありがと」
「何か夫婦みたいじゃない?樹王兄と姉ちゃん」
「な…」
「それいーな、美桜が嫁さんなら女も寄って来なくなるよな」
「何、あたしは虫除け?」
「強力な虫除け作用のある嫁さんつーか?」
「もう、嫁のこと何だと思ってるのよ、信じらんない!実家に帰らせて頂きますっ!ぷんぷんっ」
「あっ、俺の嫁が逃げた!つか実家どこよ。俺も実家ねぇけど」
「…ふ、あははは」
「はははは」
「ほら、こういうノリとかさ、誰もこの二人の間に入れないんだから、いっそのこと結婚すりゃいいのに」
「だから桜雅ってば…」
樹王の反応が怖くて、その先の言葉が出せないでいると、そこへ「栃泉さーん、今お話いいですかー」と看護師さんが来られた。
そして樹王は「じゃあ俺はこれで。またな」と帰って行った。
…さっきの桜雅の発言に、樹王は何て思ったかな…
迷惑じゃなかったかな…
「姉ちゃん、大丈夫か?」
「うん、熱もほぼ下がったから。ごめんね、忙しいのに」
「何言ってんだよ、家族の一大事だってのに仕事なんてやってらんないよ」
「ありがとう、相変わらず優しいね」
「樹王兄(にい)が助けてくれたってね」
「そうみたい。…私は記憶が定かでないんだけど」
「樹王兄に会いたいな」
「そうね、みんなでお礼しようね」
と話していた所に病室の扉をノックする音が聞こえ、私服姿の樹王が入ってきた。
「樹王…」
「あっ美桜、目ぇ覚めたか!…良かった…マジで良かった」
樹王が、はぁー…と大きく息を吐いた。
「樹王…本当に危ないところを助けてくれたんだってね、ありがとう。樹王も無事でよかった」
「樹王兄、姉ちゃんを助けてくれて本当にありがとう!」
「樹王くんも危険だったのに、美桜の命を救ってくれて本当にありがとうね」
いきなり私達家族三人からお礼を言われた樹王はちょっとびっくりしてる。
「仕事ではあるけど、まぁ昔から美桜を助けるのは俺の役目だと思ってるしな」
なんて照れ隠しのドヤ顔の樹王に微笑んだ。
「樹王…ありがとう」
「何か美桜にそんなに礼を言われると調子狂うんだけど」
頭をカシカシッと掻いて苦笑い。
「なっ…ありがたいって思うからそう言ってるのに」
「はは、ごめんって。お礼の言葉はありがたーく頂戴しとくから」
「樹王兄と姉ちゃんは相変わらずだね」
「まぁね、幼馴染みだもん」
昔も今も…これからも…
きっと変わることのない間柄。
「でも樹王くんの住まいも失くなっちゃったわね…ごめんね…」
「おばちゃん何言ってんだよ。俺は住まわせてもらってたんだから。…でも現実問題として住むとこは探さないとな、美桜ん家も俺も」
「それなんだけど美桜、お母さんと一緒に利絵の所に行かない?部屋も空いてるから良かったら来ないかって。美桜の仕事はどこでもできるじゃない?だから一緒にって思ったんだけど」
確かに私は道具と身一つで仕事できる。
だけど…隣の県なんだよね、利絵おばさん家。
「えっと…」
樹王と離れたくない…
離れたら…きっと樹王に彼女ができちゃう…
なんて、私はわがままで勝手だな…
でも…好きなんだもん…近くにいたいよ…
すると、返事に詰まる私に、桜雅がとんでもない提案をした。
「じゃあさ、姉ちゃんは樹王兄と暮らせば?」
「…え?」
「だってさ、樹王兄も家を探さないとなんでしょ?なら二人で住めば家賃も家事も負担は半分だしさ。それに姉ちゃんだって編集さんとの打ち合わせもあるし、利絵おばさん家よりこっちの方が便利じゃん?」
…そりゃあ私は嬉しいけど…
でも樹王がどう思うか…
なんて危惧していたら。
「それいいな、桜雅。ナイスアイディア!」
って樹王が桜雅の肩をパン!と叩いた。
「え…樹王はいいの?」
「あぁ、イイ話じゃん、お互いに」
そう軽く言うから…
「まぁ一人暮らしより助かる部分は多いけど」
なんて、利便性で決めた様に言ってみた。
「よし、決まりだな。おばちゃん、俺が美桜と暮らしてもいいかな」
「もちろんよ。一人暮らしさせるより樹王くんがいてくれた方が安心だもの」
「じゃあ急いだ方がいいな。ネットで調べて明日不動産屋に行ってみるよ。美桜はどんなとこがいい?」
「あ…少し考えていい?アパートとかって住んだことないからよく分からなくて…後で調べてみるから、夜に連絡するのでもいい?」
「そうだよな、ごめん、急に言われても困るよな」
「ううん。忙しいのに面倒事頼んじゃって、こっちこそごめん」
「何言ってんだよ、できる奴がする。これ常識な」
「…ありがと」
「何か夫婦みたいじゃない?樹王兄と姉ちゃん」
「な…」
「それいーな、美桜が嫁さんなら女も寄って来なくなるよな」
「何、あたしは虫除け?」
「強力な虫除け作用のある嫁さんつーか?」
「もう、嫁のこと何だと思ってるのよ、信じらんない!実家に帰らせて頂きますっ!ぷんぷんっ」
「あっ、俺の嫁が逃げた!つか実家どこよ。俺も実家ねぇけど」
「…ふ、あははは」
「はははは」
「ほら、こういうノリとかさ、誰もこの二人の間に入れないんだから、いっそのこと結婚すりゃいいのに」
「だから桜雅ってば…」
樹王の反応が怖くて、その先の言葉が出せないでいると、そこへ「栃泉さーん、今お話いいですかー」と看護師さんが来られた。
そして樹王は「じゃあ俺はこれで。またな」と帰って行った。
…さっきの桜雅の発言に、樹王は何て思ったかな…
迷惑じゃなかったかな…