幼馴染みの秘めた溺愛  ~お前は女神でヒーローで
ホールを出たところで通話ボタンをタップする。

「もしもし、栃泉だけど…鷹取?」

『あっ美桜さん!鷹取です!あのっ樹王さんが!』

「え、樹王がどうしたの?」

『あのっ火災現場で焼け落ちてきた屋根の下敷きにっ』

……!

「そ…それで樹王は!?」

『意識がなくて救急搬送されました』

「い…生きてるのよね!?」

『はい…たぶん…ですが…詳しいことはまだ…』

「搬送先は!?どこ!?」

『木島記念病院です。美桜さん、来れますか?』

「今、市内のラピスニューグランドなの。これからタクシーですぐ行くから」

『わかりました。病院にいるんで待ってます』

「わかった、連絡ありがとう」

通話を切った私はすぐさまホールにいるオカちゃんの元へ向かった。


「あっミオちゃんおかえ……どした?」

「ごめんオカちゃん、あ、あたし帰るね。帰るっていうか、あの病院に!き…樹王が病院に運ばれたって連絡がきて…あたし…」

「ミオちゃん、落ち着いて!」
パニックになっていた私の肩を、オカちゃんがガシッと掴んだ。

「オ…カちゃん…」

「大丈夫、一旦落ち着こ。ね…キオくんは失いたくない人なんだよね?…だったらもう打ち明けちゃいなよ、ミオちゃんの気持ち」

「オカちゃん…」

「私が保証する。200パー上手く行く!それと、キオくんは絶対にミオちゃんを置いていかない!」

「オカちゃん……ありがとう…うん、私…樹王が目を覚ましたら絶対に伝えるから!後で…落ち着いたら連絡するね!」

「こっちのことは気にしないでいーからね、しっかり!」


オカちゃんの『私が保証する。200パー上手く行く!』は仕事の時に言ってくれるのだけど、ハズれた事が一度もない。

そんな心強い言葉に力をもらい、私は樹王のいる病院へと向かった。
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