遊木くんの様子がおかしい
そうして私は遊木くんと2人っきりで作業を始めた。
やり始めると、確かにかなりの量のプリントがあることを実感して。
さすがにこれを1人でやるとなるとすごく時間が掛かっちゃいそうだ。
「……」
プリントをホッチキス留めしながら、私はちらりと向かいの遊木くんを見る。
…いや、ていうか。
なんで遊木くんはお手伝いに私を誘ったの?
何度も言うようだけど、私達はそんな間柄でもない。
…たまたま助っ人探してたら私を見つけたってことかな?
「…あの」
「ん?」
「なんで私を手伝いに誘ったの?」
聞いてから段々と心拍数が上がっていく。
目の前の遊木くんは一瞬ぽかんとして、うーんと唇を尖らせた。
「“なんで”か。三島に手伝って欲しいなって思ったから…では納得できない?」
「…………い、いや…大丈夫」
平然と話す遊木くんが何を考えてるのか、全く検討もつかなくてドキドキが収まらない。
大丈夫とは言ったけど、つまりどういうこと?
“私がいた”から誘ったの?
“私だった”から誘ったの?
……さすがにこれは聞けないけど。
「めんどくさいことに巻き込んでごめんな」
「えっ……ううん! それは全然大丈夫!」
「帰りに肉まん奢るから許して」
「えぇっ! いやいやそんな、気にしないで!」
「遠慮すんなって〜。そんくらいさせてよ」
きゅっと目を細めて笑う遊木くんに私は言葉を詰まらせた。
……そこまで言うなら…。
ここは素直に受け止めた方が可愛げあるかな。