遊木くんの様子がおかしい
作業を終えて学校を出る頃には、すっかり空が薄暗くなっていた。
そんな中、私は駅まで遊木くんと肩を並べて歩く。
仲良くもない私達がこうして一緒に帰ってること自体が不思議だ。
「まじで助かったー。ありがと三島」
「ううん」
ぐーっと伸びをする遊木くんを一瞥する。
……こんなにそわそわしてるのは、私だけなんだろうな。
もう、あんまり深く考えない方がいいのかもしれない。
遊木くんも特に深い意味とか無さそうだし。
私が気にし過ぎなだけだよね。
そして道中にあったコンビニに立ち寄った私達。
遊木くんは一人で店内に入り、本当に肉まんを奢ってくれた。
「はい」
「わわっ…ありがとう!」
私は遊木くんから肉まんを受け取る。
彼は早速白いほかほかの肉まんにかぶりついて
「うめー」と嬉しそうに笑った。
美味しそうに食べるなぁ。
「私も…ちょうどお腹空いてたから嬉しい」
「おー、良かった。味に自信はあるから」
「……遊木くんが作ったわけじゃないでしょ」
「あはは」
目を細めて笑う遊木くんにちょっと嬉しくなりながら、私も肉まんにかぶりつく。
……美味しい。
『空腹』と『遊木くんに奢ってもらった』っていう効果がより美味しくさせてる気がする。