遊木くんの様子がおかしい
「…三島ってちょっと変わってるな」
「え……そう? 変わってるのは遊木くんだと思うけど」
「俺? 普通じゃん」
そう言いながら、食べ終わった肉まんのゴミをくしゃっと丸める遊木くん。
そしてそのゴミを私に差し出してきた。
「……」
「あれ、三島って肉まんのゴミ集めてなかったっけ?」
「集めてないよ!」
もう! と怒る私を見て、遊木くんは満足そうにケラケラと笑ってみせる。
これのどこが普通なの。
そういうところが変わってるって言ってんの!
「かわいー」
「……か…っ」
「ほい、じゃあ捨ててくる」
そう言うと、遊木くんは私のゴミも持って一緒に捨てに行ってくれた。
……今、“可愛い”って…。
やばい……にやける。
そもそも男の子に“可愛い”って言われ慣れてないから耐性がない。
それに遊木くんって何考えてるか分かんないから、そういう直接的な言葉を言われると……すごく響いてくるんだ。
なんて熱くなる頬に両手を添えて冷ましていると、すぐに遊木くんが戻って来る。
「あ…ゴミありがとう」
「うん」
「じゃあ帰ろっか」
「承知〜」
そして私達はコンビニから離れて、再び帰路につく。
……今日で遊木くんと少しは仲良くなれたような気がする。
遊木くんにとってはなんでもないことなんだろうけど、
私からすればかなり大きな変化で。
…なんだか嬉しいんだ。
今日お手伝いに誘ってもらえて良かったなぁ。