遊木くんの様子がおかしい
手は出すなよ
――合コンは若者に人気なビュッフェのお店で開催された。
男女4人ずつで、自己紹介が終わると男子交互に円形のテーブルで座ることになる。
私は運良く1番端っこに座れた。
隣には知らない男の子がいるけども…。
「合コン初めてなの?」
楽しそうに盛り上がるテーブルの中、隣の男の子が突然くるっとこちらを振り向いてそう声を掛けてきた。
私はさっき取って来ていた唐揚げを頬張りながら、慌てて頷く。
「あはは、ごめん急に話し掛けて。
欠員出たから急遽来てもらったってさっきあの南ちゃん言ってたね」
「あ…そうなんです」
「優しいね〜。てかなんで敬語?」
くすくすと優しい笑い方をする彼。
名前は確か、北條和也くん。
顔は整ってるし、背も高いし、すごくモテてそう。
でも合コンに来るってことは今彼女いないってことだよね?
「ま、実は俺もピンチヒッターなんだよね」
「えっ…そうなの?」
「うん。部活で来れなくなった奴がいて、急遽呼ばれた。
あ、でも彼女はいないよ」
そうだったんだ…!
なるほど。
でもやっぱり今彼女はいないんだ。