遊木くんの様子がおかしい



「いや、なんであんたを誘うのよ」


「俺もクレープ食べたいし」


「自分で勝手に行けばいいじゃん」


小山(こやま)(南ちゃん)なんか俺の当たりきつくね?」


「うさぴょんが上手くいきそうなんだから、邪魔して欲しくないんですー」




わぁ……南ちゃん優しい。


すると遊木くんは「ふーん」と表情を変えず、自分の席にやっと座って。

くるりと私に身体を向けた。




「三島」


「は、はい!」


「ファイト☆」




ぐっとファイティングポーズを作って、猫のような笑顔を見せてくれた遊木くん。


私はその笑顔に一瞬固まりながらも、慌てて「ありがとう!」とファイティングポーズで応えた。




「じゃあうさぴょん、また進展あったら教えてねっ」


「うん! 南ちゃんありがとう!」


「そういえば南の方は合コンどうだったの?」


「あー、あたしはいいの。幹事側だったからそれどころでもなかったし」


「南はサッカー部の先輩が好きだもんね」


「そう〜あたしの推し〜。
他探そうと思ってもやっぱ先輩が一番なのよ」




恵美と南ちゃんのそんな会話を座ったまま眺めていると、


隣からちょんちょんと肩をつつかれる。




「…?」


「三島」




遊木くんはじっと私の顔を見つめてて、段々と私の心拍数も上がってくる。


何…?





「今日古典の便覧見してくんない? 昨日間違って持って帰っちゃっててさ」


「…あ、うん…いいよ」




ありがとう、と笑う遊木くん。


…なんだ…そんなことか。

遊木くんに話し掛けられる度に身構えちゃうクセやめたいな…。



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