遊木くんの様子がおかしい
……さすがに画面は覗いてないけど、指の動き的には誰かとメッセージのやり取りをしてるっぽい。
誰と連絡してるんだろう。
友達かな?
「……」
なんてぼーっと和也くんを見つめていると
ふとこちらに気付いた和也くんがパチッと目を合わせてきた。
すると――
「……」
和也くんはにこっと穏やかな笑顔を見せてから、
テーブルの上に置いていた私の手をするりと握ってきた。
……なっ、
急に……なんでっ??
顔を真っ赤にして動揺している私を見て、「ちょっと待っててね」と優しく微笑む和也くん。
…これは一体どういう状況なの…?
握られた手が汗ばんでくるのが分かって、余計に恥ずかしくなってくる。
私はどうしたらいいの…?
このまま和也くんに手を握られたまま待つしかないの?
と、その時。
「あ、三島だ」
聞き慣れた声が聞こえてきて、私はパッと顔を上げる。
すると、スタスタとこちらのテーブルに近寄って来る通りすがりの遊木くんがそこにはいた。