遊木くんの様子がおかしい



「遊木くん…!?」


「ん? 何?」




スマホから顔を上げて私の視線の先を追う和也くんと、テーブル横まで来た遊木くんの目が合う。


すると2人とも驚いた表情を浮かべた。




「え、虎じゃん」


「え、カズじゃん。

…あー合コンで会ったのカズだったのかぁ」


「久しぶり虎。
何? どういうこと?」


「カズ、この子俺のクラスメイト」




そう言って私を手で指す遊木くん。

和也くんは「え!? そうだったの?」と更に驚いてみせた。


……状況から察するに、遊木くんと和也くんは知り合いだったのかな…?


確かに北高に友達いるって遊木くん言ってたもんね。

ほんとにその友達が合コンの相手だったなんて。




「すごい偶然〜」


「……ねぇ、もしかしてもう2人付き合ったん?」




遊木くんはそう言うと、私と和也くんの握られた手に視線を落とした。



…えっ!?




「違う違う! 付き合ってない!」


「あ、そう? じゃあなんで手繋いでんの?」


「…えっと…」




ちらりと和也くんの顔を窺うと、和也くんはそれに気付いて「あぁ」と声を漏らした。




「俺がちょっと待たせてたから、寂しくないように繋いでたんだよ」


「……」




……?

え、どういうこと?




「宇紗子ちゃんごめんね? 放置しちゃって」


「……いや…全然…」


「カズは相変わらず距離詰めるの早いなぁ。

てか待たせてたって、また他の女子と連絡取ってたんだろ」




呆れたように話す遊木くんを私はぎょっとして見上げた。


……なんですって?


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