遊木くんの様子がおかしい




「…あ、ごめん。彼女に呼び出されちゃったから行かなきゃ」




スマホを見ながら申し訳なさそうにそう話す和也くん。

そしてそそくさと鞄を手に持った。




「え、先約は三島なのにそっち行くの? ほんとサイテー!」


「いやぁ…宇紗子ちゃんほんとごめんね?」


「あ…ううん! 私は全然大丈夫っ」




和也くんのことほんとに良いなって思い始めてたとこだったけど、不思議とショックは小さい。

きっと、遊木くんのおかげだ。




「もし俺と遊びたくなったらいつでも呼んでね♡」


「はよ行けこのナンパ男」




最後まで笑顔で手を振ってその場を後にした和也くん。

遊木くんは和也くんが見えなくなると、そのまま和也くんが座ってた椅子に腰を下ろした。




「……」


「あ……遊木くん」


「ん?」


「あの、ありがとう…」




私がお礼を伝えると、遊木くんはきょとんと首を傾げる。




「何が?」


「いや…その…守ってくれたというか」




あれ……なんて言えばいいんだろう。

ていうか私が勝手に思い込んでただけで、別に遊木くんはそんなつもりじゃなかったのかも。


…だったらめちゃくちゃ恥ずかしい。




「あぁ、うん」




と思ってたらあっさり納得してくれた遊木くん。


ほっ……。




「てか勝手に引き離しちゃったけど、もし三島が浮気マンなカズでもいいってつもりだったらごめん」


「いや……大丈夫。そんなの絶対嫉妬しちゃうだろうから」




さすがに二股以上が常習犯な彼とは続く気がしない。

このまま付き合っちゃってたら知った時のショックはもっと大きかっただろうし。



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