遊木くんの様子がおかしい
「なら良かった。
てか、三島って嫉妬深いんだ」
「……多分。結構自分に自信無いから」
「ふーん」
唇を尖らせて周りへ視線を移す遊木くん。
……なんか恥ずかしいな。
聞いてきたけど、遊木くん大して興味も持ってなさそうだし…。
「…えっと、遊木くんって“虎”って呼ばれてたんだ?」
「あー中学の時はね」
「へぇ……なんかかっこいいね」
ポロッとそんな言葉を漏らすと、遊木くんはまたきょとんとした。
「かっこいい……?」
「な、名前! “虎”ってかっこいいじゃん!」
「あ~、まぁ珍しいよなー」
「羨ましい」
「いや羨ましいって。やっぱ三島って変だな」
あはは、と笑う遊木くんに思わず顔を赤くさせた。
……また変って言われちゃった。
でも、「変だな」って笑う遊木くんがすごく楽しそうだから……やっぱり嬉しくなってしまう。
……うん、確かに変だ。
「てか、“宇紗子”って名前も珍しいじゃん」
「…えっ、あ……そっか」
「小山が呼んでた“うさぴょん”ってあだ名、あれ可愛くて良いよな」
「……」
あ、やばい。
何これ……すっごいにやけちゃう。
遊木くんが私の名前とかあだ名を言っただけなのに、私はそれにいちいち反応してしまう。
「…わ、私も気に入ってる!」
「あ、やっぱり? 三島自身もなんか“うさぴょん”感あるよな」
「……それはよく分かんないけど……」
「あはは」
そうやって目を細めて笑う遊木くん。
……なんか、ずっとソワソワしちゃう。
ドキドキしたりで落ち着かないんだけど、居心地が良いというか…。
もう和也くんショックなんてノーダメージだもん。