遊木くんの様子がおかしい
――…
午前の部も終わり、一旦お昼休みに入った。
クラスの女子で固まってお昼ご飯食べたりして、なんだか今年の体育祭は楽しくて仕方がない。
クラスが仲良いからかな。
何にせよ、1組になれて良かった。
「ごめん、トイレ行ってくる〜」
「いってらっしゃーい」
恵美がトイレに向かうのを見送り、私は近くの壁にもたれかかって彼女の帰りを待つことにした。
…男女混合リレーの遊木くん、かっこよかったな。
サッカー部がいる4組を抜いて1位になっちゃうんだもん。
クラスの盛り上がり方は尋常ではなかった。
遊木くんの足の速さも改めて実感して、なんだかどんどん魅力的に思えてきてる気がする。
“もう宇紗子さぁ、遊木くんのこと好きでしょ”
…あの恵美の言葉が、最近よく思い出される。
なんか色々考え過ぎちゃって、もはやよく分かんなくなってきちゃった。
もし本当に私が遊木くんを好きだったとして、「付き合うの?」って聞かれたら……
「うん」って……素直に答えられないんだよね。
だからまだ“好き”ではないんだって、自分では思ってる。
遊木くんと付き合っても、今と全然関係は変わんないだろうし。
未だに付き合う想像が全くできないから。
……うん、やっぱり今のままがいい。