遊木くんの様子がおかしい
――午後の部に入り、次は障害物&借り物競争が始まった。
私達1組はいつもの男子グループの一人、大谷くんが出場していて。
借り物のお題がどんなものか、皆でドキドキしながら見守っていた。
「大谷頑張れ〜!」
「お題何ー?」
お題を持った大谷くんがこちらに駆け寄って来て、私達1組に顔を向けて誰かを探し始める。
「遊木! 遊木どこ!?」
大谷くんの言葉に、ざわっとなるクラスメイト。
え、まさかの遊木くん?
お題は遊木くんに関連するものなの?
「はーい、俺ココ」
「っしゃ! 行くぞ!」
「お題は?」
「『名前に動物がいる男子』!」
ええっ。
そんなお題あるんだ!?
確かに遊木くんの名前『虎之助』だもんね。
大谷くんと仲良いし、良いお題だったかも。
勝ったぜ〜! なんてはしゃぎながら走り出す大谷くんと遊木くんを見送っていると、
入れ替わるように他の男子が1組の前に来たのが見えた。
……あれ?
鹿野くんだ。
「えっと…三島さん!」
真っ直ぐ私を見つめたままそう声を上げた鹿野くん。
私含め、周りの全員が再びざわっと騒いだ。