遊木くんの様子がおかしい
え……私!?
「は、はいっ」
「ごめん! 一緒に来て!」
ええっ!?
ほんとに私なの!?
イマイチ状況についていけないけど、私は慌てて鹿野くんの元へ駆け寄る。
そこでクラスメイトが何人か声を掛けてきた。
「遊木に続いて三島さんもかよ!」
「お題何だったのー?」
「あ、『名前に動物がいる女子』で……クラスにいなくて、三島さんしか思い付かなくて…」
まさかの、またそのお題だったのか!
こんなことあるんだ……。
ていうか鹿野くん、私の下の名前知ってたんだね。
あれ?
でも『うさぎ』じゃなくて『うさこ』だけど、大丈夫なのかな?
「マジか! スゲェ!」
「うさぴょんいってらっしゃーい!」
1組と2組に送り出され、私と鹿野くんも走り始めた。
わぁ…なんだかドキドキする。
借り物競争で借りられるなんて、すごい経験。
「なんかごめんね、三島さん」
「いやいや! お役に立てて嬉しい限りです!
でも、名前『うさこ』だけど大丈夫かな?」
「多分大丈夫でしょ。結局1位にはなれなさそうだし」
鹿野くんの言う通り、1組含め何人か既にゴール地点に着いているようだった。
そっか、なら問題ないか。