遊木くんの様子がおかしい




私と鹿野くんもゴール地点に着いて、運営生徒にお題を確認してもらう。

マイクを使ってお題と私の名前を読み上げられ、「うさぎっぽいので合格です!」と発表されて。

観客生徒から大きな拍手が聞こえた。



良かったぁ…。


ホッと安心して待機列に並ぶと、鹿野くんが笑顔で私の顔を覗き込んでくる。




「ありがとう三島さん。助かったよ」


「ううん! 合格できて良かった〜」


「そうだね」




更に爽やかな笑顔を向けられて、思わずドキリとしてしまう。

ドキリというか、キュンに近い。



すると少し前に並んでる生徒がくるっとこちらを振り向いてヒラヒラと手を振るのが見えた。


あ、遊木くん!


遊木くんは大谷くんと一緒に私達の近くに寄って来る。




「三島も同じお題で呼ばれたんだな」


「ね! ビックリ」


「てか鹿野くんも苗字だけど名前に動物いるよな」




大谷くんがそう言うと、「ほんとだ」なんて言いながら私達は鹿野くんを見た。


ここに動物の名前が3匹もいる。




「鹿野くんって確かに鹿っぽいもんな」


「え、そうなの?」


「おいコラ遊木、またテキトーなこと言ってんだろ」


「バレた?」


「あはは、なんだそれ」




遊木くんと大谷くんのやり取りに吹き出す鹿野くん。

その笑い方ですら爽やか過ぎて、なんだか眩しく感じた。


鹿野くんってこんなに爽やかな人だったんだ。


関わりが無かったから気にしてなかったけど、なんとなくモテてそうだなぁ。



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