遊木くんの様子がおかしい
そんなこんなで夏休み。
今日は待ちに待った夏祭りの日。
私は恵美と一緒に買いに行った白い浴衣を着て、今日を臨んでいる。
そう、今日は遊木くんがいる男子グループと会うかもしれないのだ。
学校以外で、しかも浴衣なんて着ちゃってて、余計緊張する。
…変じゃないかな。
って、そんなことばっかり考えちゃってるよ私。
「花火までまだ時間あるし、たこ焼きとか買いに行こ〜!」
南ちゃんを筆頭に、ぞろぞろと人混みを移動する女子一同。
あぁ、すでに楽し過ぎる。
お祭りってなんでこんなにワクワクするんだろ。
「愛しの遊木くんはまだ会えないねー」
隣を歩く恵美がいやらしく笑いながら小突いてくる。
私は「ちょっと!」と照れながら恵美を軽く叩いた。
「何言ってんの!」
「だって宇紗子ずっとそわそわしてるもん。いいよ、隠さなくても」
「〜〜だから、そういうんじゃないんだってば!」
ふいと顔を背けてそう言ってみせる。
……まあ会えるのは楽しみだけどさ。
遊木くんはどんな私服なのか、気になってるけどさ!
なんて会話をしつつ、私達はたこ焼きの列に並ぼうとしていた。
と、そんな時。
「あ! 大谷〜!」
南ちゃんがブンブン手を振りながら声を上げる。
そちらに顔を向けると、なんと大谷くん率いる男子グループが近寄って来ているのが見えた。
…あ! 遊木くん!
って、うわ待って……甚平着てる!?