遊木くんの様子がおかしい





――…


次は現国の授業。

さっき恵美に借りたシャーペンで板書をノートに書き写していく。



そこで

隣の席から何やらガサゴソと筆箱を漁る音が聞こえてきて


私はゆっくりそちらへ顔を向けた。




「!?」




私はギョッとして固まる。


遊木くんは筆箱から取り出した数本のシャーペンやボールペンをなぜか机に並べていて

それらを器用に使い分けながらノートをとっていたのだ。




いや、ちょっと待って。



シャーペンもボールペンも予備持ってるじゃん!!




「…っ」




唖然とする私に気付いた遊木くんはまたもやニコッと爽やかに笑って、

そして平然と授業に戻ってしまう。



……ねぇ、なんでさっき筆ペン貸したの?

そんなにたくさん予備持ってるのに!?


え、もしかしてわざと?

いや絶対わざとだよね。


だから小テストの時あんなに笑ってたんだ。



でもなんでそんなこと私にするの?

仲良くなくても、こんなイタズラしちゃうくらいコミュ力あるってこと!?




「……」




はっと遊木くんを見ると

彼はまた肩を震わせながら机に突っ伏していた。



めちゃくちゃ笑ってるし!


絶対私の考えてること分かってるじゃん。


一体どういうつもりなの?

ていうか笑い過ぎだよ!!


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