遊木くんの様子がおかしい
「……私も、浮かれてる」
「あら三島も? なら良かった」
「なんかドキドキするよね、お祭りって」
ぽつりと呟くように言葉を漏らす。
普段とは違う場所。
普段とは違う服装。
それだけでもドキドキするのに。
もっと、それ以上に、
私の心を埋め尽くす感情。
意識は既に、隣の彼に全てもっていかれている。
「するする。テンション上がる〜」
「あはは、ほんとに上がってる?」
「超上がってるよ」
ニコッと笑う遊木くんに、クスッと笑ってしまう。
全然いつもと変わらないんだけど?
これだから遊木くんは掴めない。
……でも、そこが遊木くんの良いところだよね。
「あ、三島達って花火見るよな?」
「うん! そのつもり」
「じゃあ一緒に見よ」
グッと親指を出してそう言ってみせる遊木くん。
私もコクコクと頷いて同じように親指を出した。
と、そこで南ちゃんと大谷くんが全員に呼び掛け始める。
「ねーねー! 花火皆で見るからさー、場所取りする人と屋台で買い出しする人で分かれよ〜」
「ちなみに買い出しはテキトーで。たこ焼きと焼きそばは確定でヨロシク」
そして2人によってテキパキと役割分担されていき、
なぜか私と遊木くんの2人で、ベビーカステラを買う事になった。