遊木くんの様子がおかしい
「人やべー」
遊木くんの言葉に「やばいね」と返しながら、なんとかはぐれないように人混みを抜けていく。
花火の時間が迫ってくればくるほど、どんどん人が多くなってきてる。
これは場所取りしてもらってて大正解だね…。
……ていうか、なんで私と遊木くんの2人きりになったんだろう。
他は男女4人で買い出しとか場所取りしてるのに。
つまり、ほんとに公認の仲良しコンビになってるのかな?
皆違和感無さそうだったし、そうなのかも。
それはそれでなんか恥ずかしいけど……嬉しいな。
嬉し過ぎるかも。
「ベビーカステラって1袋で足りるかな?」
「人数多いし2袋でいんじゃね?」
そして私達はベビーカステラを2袋購入し、また人混みに揉まれながら皆の所へ戻り始める。
下駄だから歩きにくい……。
遊木くんも下駄だし、絶対疲れてるよね。
私は前を歩く遊木くんの服を掴んで、クイクイと引っ張った。
「ん?」
「ちょっとだけあっちの花壇の所に避難しない?」
「いいよ。あ、ごめん、疲れてたよな」
ハッとした遊木くんは私から荷物を全部取って、花壇の方へ誘導してくれた。
そして2人して花壇横のちょっとしたスペースに腰掛けて、ふぅと同時に息をつく。