遊木くんの様子がおかしい



「靴擦れとかしてない? 大丈夫?」


「あ、大丈夫! 遊木くんは?」


「全然大丈夫。まあ疲れはしたけど」




ニッと笑う細い目。

猫みたいな、可愛らしくて大好きな笑顔。


……あぁ、やっぱり。

この笑顔は安心する。




「……遊木くんは夏休みどっか行ったりするの?」


「まー海とか田舎のじーちゃんばーちゃん家とか。あとは基本友達と遊んだりダラダラしたりかなー」


「わぁ、なんか夏休みって感じでいいね」


「そうか? 普通だろ〜。三島は?」


「私もおじいちゃんおばあちゃん家に行ったり、恵美と遊びに行ったり、かな」


「同じじゃん。いいね」




行き交う人の流れをぼーっと眺めながら、私達は言葉を交わす。



……何か。

何か……無いかな。



私と遊木くんが会える、キッカケ。



2人で遊びに行かない? っていきなり言うのは

やっぱり……どうしても変だよね。


だって、そんなの、気付いちゃいそう。




と、そこへ。




「あれ? 虎?」




聞き覚えのある声が上から降ってきて、私達は同時に顔を上げる。



……あ。




「うわ、カズじゃん」


「おーやっぱり虎だー。って、宇紗子ちゃんもいるー!」




ニッコニッコと嬉しそうに近寄って来るのは、女たらしの和也くん。


まさかの!

すごい、久しぶりだぁ!



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