遊木くんの様子がおかしい
「え、なになに? 2人……もしかして付き合った!?」
目をキラキラとさせて私と遊木くんを交互に見る和也くん。
私はぎょっとして手を振った。
「付き合ってないよ! 皆で来てて、今は2人で買出し中」
「あ、そうなの? なーんだ。
てか宇紗子ちゃん浴衣めっちゃ可愛い〜♡」
和也くんはそう言うと、私の隣にストンと腰を下ろした。
そしてすかさずキュッと私の手を握って顔を近づけてくる。
「宇紗子ちゃんまだフリー? なら俺とデートしよ。
またドラマの話したいしさ」
「えっ」
まさかのお誘いにビックリしていると、逆隣に座る遊木くんが身を乗り出して繋がれた手を引き剥がした。
「カズお前……手出すなって言ったじゃん!」
「えーまだダメ? 俺も今完全フリーだし良くね?」
「良くねーの」
シッシッと追い払う仕草をする遊木くん。
私は身を乗り出してきた遊木くんとの距離の近さに硬直していた。
……どうしよう、にやける。
また守ってくれてるし、なんか、ほんともう……。
「えー残念。ま、気が向いたら電話してね、宇紗子ちゃん♡」
「えっと…」
「三島、もうカズの連絡先消していいよ」
「ちょっとちょっと! そこまでしなくていいじゃん!」
遊木くんは和也くんを立たせて早く向こうへ行くように促し、
和也くんも友達が待っているようで「じゃあそろそろ行くよ」と渋々納得した様子。
「虎、また遊ぼうね」
「おー」
「宇紗子ちゃんもね♡」
「もう行けっての!」
そしてようやく、和也くんは手を振りながら人混みに消えていった。
……あー、ドキドキした。