遊木くんの様子がおかしい



「え、なになに? 2人……もしかして付き合った!?」




目をキラキラとさせて私と遊木くんを交互に見る和也くん。


私はぎょっとして手を振った。




「付き合ってないよ! 皆で来てて、今は2人で買出し中」


「あ、そうなの? なーんだ。
てか宇紗子ちゃん浴衣めっちゃ可愛い〜♡」




和也くんはそう言うと、私の隣にストンと腰を下ろした。


そしてすかさずキュッと私の手を握って顔を近づけてくる。




「宇紗子ちゃんまだフリー? なら俺とデートしよ。
またドラマの話したいしさ」


「えっ」




まさかのお誘いにビックリしていると、逆隣に座る遊木くんが身を乗り出して繋がれた手を引き剥がした。




「カズお前……手出すなって言ったじゃん!」


「えーまだダメ? 俺も今完全フリーだし良くね?」


「良くねーの」




シッシッと追い払う仕草をする遊木くん。


私は身を乗り出してきた遊木くんとの距離の近さに硬直していた。



……どうしよう、にやける。

また守ってくれてるし、なんか、ほんともう……。




「えー残念。ま、気が向いたら電話してね、宇紗子ちゃん♡」


「えっと…」


「三島、もうカズの連絡先消していいよ」


「ちょっとちょっと! そこまでしなくていいじゃん!」




遊木くんは和也くんを立たせて早く向こうへ行くように促し、

和也くんも友達が待っているようで「じゃあそろそろ行くよ」と渋々納得した様子。




「虎、また遊ぼうね」


「おー」


「宇紗子ちゃんもね♡」


「もう行けっての!」




そしてようやく、和也くんは手を振りながら人混みに消えていった。


……あー、ドキドキした。



< 64 / 87 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop